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#146 トップランナーとライバルについて

2024.06.02

左:磯崎 新「つくばセンタービル」/右:槇 文彦「スパイラル」

ブログ#143「トップランナーについて」で「建築デザインには時代ごとにトップランナーが居て・・・」と書きましたが、もう少し詳しく述べると、トップランナーにはライバルがいました。

丹下健三の場合は一廻り年上の村野藤吾が周囲からはライバルと目されていました。例えば、丹下健三の設計した赤坂プリンスホテルと村野藤吾の新高輪プリンスホテル(現グランドプリンスホテル新高輪)は同じ1983年開業ですが、前者は2011年に閉館、その後解体されました。それに比べ、後者は今も盛況です。

磯崎新の場合は同世代の槇文彦とされています。磯崎新がその時代のトップランナーであったことは多くの方が認めるところだと思います。しかしながら、槇文彦は幕張メッセや代官山ヒルサイドテラスなどなど、一般の方々にも馴染み深い建築を数多く残し、また早くから国際的にも高い評価を得ています。

村野藤吾や槇文彦はトップランナーよりもクォリティーの高い建築をしばしば生み出しましたが、丹下健三・磯崎新は「新しさ」で勝っていました。また、建築デザインに接する多くの者は両者の多様性を楽しんでいたように感じます。私もその一人です。

ところが、伊東豊雄・隈研吾にはライバルと目される建築家が見当たりません。優秀な建築家は多くいるのですが、伍するほどの建築家を特定できません。理由ははっきりとは分かりませんが・・・

漠然とした言い回しになりますが、コンピューターが社会に定着してから、「一人勝ち」の時代になったと聞いたことがあります。例えばコンピューターソフトやeコマースなどが顕著な例です。同様に建築デザインでも「トップランナーとその他」の構図となっています。多様性の時代とか言われていますが、実際は正反対で、少し残念な気がしています。

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