#141 「倉俣 史朗」 展を観て

2024.01.14

倉俣の代表作「ハウ・ハイ・ザ・ムーン」。美術館のエントランスでは実際に座れました。

先日、世田谷美術館で「倉俣 史朗」 展を観てまいりました。

私がとても敬愛するインテリアデザイナーでした。実際に幾つかの作品に足を運びました。どの作品にも魅了されるのですが、私が最も好きなのは「ISSEY MIYAKE MEN 渋谷西武」でした。しかしながら、どれも店舗なので数年でリニューアルされたり、店舗そのものがなくなってしまったり、作品がとても短命なのを残念に感じていました。

今回の展覧会は図面・写真・実際の椅子等の展示内容でしたが、正直に申しあげると、それぞれの作品に関し展示内容の少なさが不満でした。

展示の最後の方にインタビュービデオが流されていて、インタビュアーが作品の短命に関して尋ねると、倉俣は「私は、住居はあまり好きではない、仮設を好む。同様に人生に定住したくない・・・」と答えます。恐らく、倉俣は作品の記録(例えば写真やドローイング等)に頓着しないのだと思います。作品を仮設物として捉え、留め置きたいという考えを持たないので、展示内容が少ないのだと思います。だからこそ、あれだけ自由な発想が生まれるのでしょう。

建築家が、自身の死後も作品を留め置きたいと望むのとは対照的に・・・

エキスパンドメタルで幾重にも覆われた「ISSEY MIYAKE MEN」渋谷西武は他にはない唯一無二の空間でした。

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(建築家 古里正)
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