#119「吉坂 隆正」展を観て

2022.05.19

お茶の水にあるアテネ・フランセ。造形も色彩も独特です。

連休に「吉坂 隆正」展を観てまいりました。

建築家 吉坂隆正は幼少期をスイスで過ごしたこともあり、常にグローバルな視野を持っていました。早大の学生時代は建築にとどまらず、山岳部でも活躍しました。その後、フランス政府給費生としてパリに渡り、ル・コルビュジエのアトリエに勤務しました。帰国後、自身の設計事務所を開設し、多くの作品を残しただけでなく、後進の育成にも定評がありました。他方、登山家・探検家としても活躍しました。早大教授、日本建築学会会長、日本山岳会理事や早大アラスカ・マッキンリー遠征隊長などを歴任しました。

私が彼の作品を最初に体験したのは大学1年の春だったと思います。建築ガイド本を片手に、お茶の水の「アテネフランセ」を観に行きました。その独特な造形と色彩がとても新鮮に感じられ、「建築って面白い!!」と強く思った記憶があります。その年に氏の特別講義を受講する機会を得ましたが、残念ながら翌年お亡くなりになりました。

立派な髭が氏のトレードマークでしたが、今回の展覧会で、その髭はキューバのカストロとチェ・ゲバラに逢うためにはやし始めたとの記載には驚きました。展覧会を観て、建築を学び始めた頃を思い出しました。

コルビュジエの彫塑的造形を突き抜けた独特な形態は、後進にも大きな影響を与えました。

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(建築家 古里正)
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