#100 アートのお値段

2021.02.25

日本の3つの美術館の所蔵作品だけで、これだけの企画を実現できているのには少し驚きました。20世紀初頭から現代に至るまで、西洋の主立ったアーティストの作品が網羅されています。

先日、横浜美術館で「トライアローグ」展を観て参りました。上掲の看板になっている絵はゲルハルト・リヒター作「オランジェリー」という作品です。彼の作品は2012年に約27億円で落札され、生存する画家の作品としては当時史上最高額だったそうです。「オランジェリー」は1982年製作、1984年に富山県美術館が870万円で購入したそうでが、27億円の作品より大きいこともあり、現在の価格は、数十億円?もしかしたら百億円するかも・・・と欲が膨らんでしまいます。しかし、金額よりも、むしろその学芸員の審美眼が讃えられるべきでしょう。

本サイトのブログで何度かお伝えしましたが、私は数年前までデッサンを習っていました。その先生は美大生のときに才能を見いだされ、フランス政府の給費生としてパリに渡り、画家としての活動を続けました。帰国すると、多くの画商から絵の注文が殺到したそうです。先生はお父様も画家でいらっしゃったので、お父様が懇意になさっていた画商にのみ自作を売ったとのことでした。

また、先生のお知り合いで同様に帰国した画家も同じく絵を求められ、「自分の絵は社会から求められている!」と強く感じ、必死に描き続けたそうです。しかし、主立った画商に彼の絵が行き渡ると、ぱたっと注文が来なくなったそうです。
アート作品は時として、「オランジェリー」のように百倍にも千倍にも値が上がることがあります。画商は宝くじを買うようにフランス帰りの若い画家に絵を注文したのだと思います。宝くじは1枚あれば充分なので、2枚目の注文はありません。その後、その画家は活動が難しくなります。

私にデッサンを教えて下さった先生がおっしゃるには「マーケットを枯渇させるのだ!」「信頼できる画商に、値崩れしないようマーケットをコントロールしてもらう!」とのことでした。「アートで身を立てるということは、やはり一筋縄では行かないものなのだなぁ~」と感じ入りました。でも、その先生は公民館で一般市民に、自身の教室で小学生にも絵を教えてくれています。

展覧会を観終えて、私の連れは美術館併設のカフェで、マグリットの作品をモチーフにしたラテを飲んでいました。

言葉にならない「想い」までも
「家」にする

千葉・柏の住宅設計事務所 古里設計
(建築家 古里正)
毎日が心地よく、しあわせを
実感いただける
安心安全な空間をご提案します。

TEL04-7170-5666
(休日:土日祝祭日)

お問い合わせ