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#030 和風ではなく、「和」について

2016.01.01

木村屋が元祖とされる「あんパン」ですが・・・

先日、都市計画家と話す機会があり、その発言内容に少し驚きました。「日本には3種類の建築しか存在しない。それは和風・洋風・モダン・・・」、全く反論できませんでした。和風の「風」は「~のようなもの・・・」と言う意味ですから、「和」と何か?日本独自の建築とは一体・・・?

以前、ブログ#007で神社が日本独自の建築様式であるかのようなことを書いていますが、神道は稲作と強く結びついていること、稲作は南方から縄文時代後期に伝来したことを考え合わせると、神社の形態が南方の穀物倉庫のように見えなくもありません。「和」について、建築家の横内敏人氏は「言葉」を引き合いに出しながら、大変興味深い発言をしているので、少し長文ですが引用します。

「日本では、飛鳥時代以前は話し言葉だけだったのです。書き言葉がないから中国から漢字を輪入しているけれど、日本人は話し言葉を訓読みとして残しましたね。その時点で、単に漢字を輸入しているようで、音読みと訓読みとで足し合わせた独自の文化にしている。しかも、後の平安時代に平仮名ができるから、本当は表音文字の平仮名だけで用が足りたかもしれないのに、日本人は漢字を捨てなかった。ここでも足し算をしている。その結果が、今の漢字と平仮名が交じった日本語ですから。韓国では、むしろ漢字を捨てて、ハングルに自国のアイデンティティを込めていますが、日本は捨てずに、どんどん加えていく文化だということです。こうした新しいものを取り入れて、文化をつくるときの作法を「和」としてとらえています。」(*1)

足し算の答えを「和」と言いますが、それは形態ではなく、新しいものを取り入れて、文化をつくるときの作法こそが「和」である・・・と考えると、身近な例としては、「パン」+「あんこ」=「あんパン」、「自動車」+「社寺建築」=「霊柩車」などが私たちの生活に根付いています。他方、下掲「そろばん付き電卓」のような「和」の失敗例も見逃せません。

(*1)TOTO通信504号P7

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