#056 どのハウスメーカーの住宅を買うべきか vol.9 ハウスメーカーの理念とコスト
2018.02.06
今回はハウスメーカーの理念とコストについてお伝えしたいと思います。
近代建築の巨匠ル・コルビュジェの残した有名な言葉に「住宅は住むための機械である!」というのがあります。 このフレーズはしばしば「非人間的である!!」と非難されましたが、彼の真意は「安価で、規格化され、充分に設備が整い、安易に扱える機械のような住宅」というものです。(※1) この考えは日本のハウスメーカーの原点でもあり、同時に住宅のプレファブ化をも意味します。
ここで気になるのが「プレファブ化を推し進めると住宅を安価に提供できるのか?」という疑問です。 安価にするには大量生産しなければなりません。 つまり「売れる住宅を作らないといけない」ことになりますが、そこでまたスタイルの問題が再燃します。 本稿「ハウスメーカーの歴史 ’70年代」 「ハウスメーカーの歴史 ’80年代」 「ハウスメーカーの歴史 現在」でそれぞれお伝えしたように、プレファブ化がスタイルとして必ずしも時代の要求にマッチしているとは限りません。 プレファブ化しても大量生産に結びつかなければ、安価にはできません。 現時点ではプレファブ化を進めている住宅とブプレファブ化に特化せず木造軸組工法やツーバイフォー(2×4)工法の住宅には大きなな価格差は見られません。
住宅展示場などで多くのモデルハウスを巡ってみると、プレファブ化の有無に拘わらず、その坪単価の最低価格帯は概ね70・80万円台~と50万円台~に二分されるように感じます。 多くのハウスメーカーは前者に属し、2割程度のハウスメーカーが後者に属しているようです。 50万円台のハウスメーカーがその低価格を実現しているのは、ユニットバス・洗面台・サッシ・ドア枠などの建築部材を海外にある自社工場で生産しているためだそうです。 各部材のデザインに関する選択肢が少ないのは否めませんが・・・。 また、本稿「「分譲住宅」または「建て売り」について」でお伝えしたように、分譲住宅で同じ形態・材料が並ぶのは、部材の大量仕入れによるコストダウンを求めてのことです。 つまり、コストダウンはプレファブ化によるものではなく、あくまでも流通の問題なのです。
※レイナー バンハム著 「巨匠たちの時代」 鹿島出版会 P34
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千葉・柏の住宅設計事務所 古里設計
(建築家 古里正)
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