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◯開口部と外観
ベッドタウンの郊外にある消防団の器具置場である。
1階に消防車の車庫、2階が会議室等の構成である。
消防局との当初の打合せで、1階車庫に保管する工具等の盗難防止のため、1階の窓には面格子を付けるか、または排煙窓の様な高い位置の連窓にするか、選択を迫られた。意匠的な理由から排煙窓の様な形態の窓とした。
さらに、この開口部を2階でも反復することを試みた。
その結果、連窓と細長い壁が何度も反復する建築形態は周囲の住宅と比べスケール感が異なり、建築物として存在感が強くなった。
また、里山の様な風景の中で、その幾何学的な印象が強調されることとなった。
◯内部空間と風景の関係
連窓と細長い壁が反復する建築形態は、これまでの一般的な開口部形式(単窓・連窓・カーテンウォール)のどれとも異なる特徴がある。
それは2階会議室において、開口部各段で別々の風景を切り取ることとなる。
具体的には上段の開口部で空、中段で家並み、下段で畑や擁壁のそれぞれの景色が切り取られる。
結果的に、風景がコラージュのように分断・再構成されるかのように感じる。