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#133 鈴木京香さんが吉坂隆正の名作住宅を継承！

2023.05.19

「#119「吉坂 隆正」展を観て」でお伝えした吉坂隆正氏の代表作「ヴィラ・クゥクゥ」は当時のクライアントが随分前にお亡くなりになり、解体の危機にありました。それを女優の鈴木京香さんが買い取り、ほぼ1957年竣工当時に蘇らせました。

私は建築を学び始めてすぐに、この小さな住宅作品を知りました。コンクリート塊のような独特な造形ですが、私が驚いたのは、上掲写真の様に階段の吹き抜け側に手摺がないことでした。壁側には手摺が付いていますが、吹き抜け側に手摺（防護柵）がなく、落下の危険があることを担当教授に訴えました。早大で吉坂隆正氏から薫陶を受けていたその教授は「階段とは人が慎重に上り下りすべきところなので、わざと手摺を付けていないのだ！」との答えでした。私は更に驚きましたが、「建築は現実以上に､有るべき姿を求めるものなのだ！」と知りました。

今の私の理解では、階段の軽やかさや空間の伸びやかさを表現するため、手摺は壁側に取り付けたのだと思います。余談ですが、当時の建築基準法ではこのように階段部の手摺はなくとも許容されていましたが、現在は認められません。

このような形で名建築が継承されるのは、建築に携わる者の一人として、凄く嬉しく感じています。