#128 伊藤若冲とフランク・ロイド・ライト
2023.02.01
先日、出光美術館で「江戸絵画の華-若冲と江戸絵画」展を観てまいりました。
伊藤若冲の作品は二度ほど観ていますが、毎回その超絶技巧に驚きです。若冲が一般に知られるようになったのは、一部の研究者や古美術商を除いて、今世紀に入ってからです。江戸中期の画家ですが、永いこと歴史に埋没していました。
若冲のコレクターとして有名なアメリカ人ジョー・プライスは学生時代に建築家フランク・ロイド・ライトと知り合い、強い影響を受けます。その後、浮世絵蒐集家でもあるライトに連れられて行った古美術商で若冲の掛軸『葡萄図』に出会い、それ以降 若冲を中心に日本絵画の蒐集を始めます。今世紀になり、プライスの膨大なコレクションが日本でも紹介され、多くの日本人が若冲の作品に魅了されるようになりました。
もしもプライスが居なければ、私たち日本人が若冲を知ることはなかったでしょう。また、東日本大震災直後、多くの美術品オーナーが原発事故による作品の被爆を恐れ、日本への貸し出しを渋ったのに対し、プライスは東北を元気づけようと巡回展を実施してくれました。プライスは日本の恩人と言えるでしょう。
今回、出光美術館がその一部を購入し、日本に里帰りする形となりました。
フランク・ロイド・ライトは日本では特に先代の帝国ホテル(現在はエントランスホール部分が明治村に移築されています)が有名です。また、私は随分と前に山邑邸を見学させて頂きました。日本人が若冲を知る最初のきっかけをライトが作ってくれたことは、建築に携わる者の一人として、ちょっと嬉しい気がしています。
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千葉・柏の住宅設計事務所 古里設計
(建築家 古里正)
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