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クライアントとの出会いについて
2012.10.08
text by T.Furusato


  2003年に竣工した「鰻 大和田」 ですが、先月、外部の木格子が新しくなりました。新築時と寸分違わぬ内容で更新されました。外部木格子は雨ざらしのため、設計の初期段階から「新築後10年程で更新する」ことをクライアントにご了解頂いていました。ほぼ予定通りの外部木格子の更新です。

 

 実は「鰻 大和田」のご主人はご自分の別荘(ログハウス)を自身で建設してしまうほど器用で、建築の知識も豊富な方です。当然、この店舗もご自身で設計・施工することもできた筈です。しかし、家業の鰻屋を含め10店舗以上の多様なお店を立ち上げた経験から、適切な設計者を探していらっしゃいました。複数の建築士の知り合いの中から、弊社が設立時につくった会社案内の内容に感じ入って頂き、設計を担当させて頂くこととなりました。また、前述の外部木格子の更新もそのひとつですが、普通のクライアントであれば躊躇するであろう内容も、しっかりとご理解頂いた上で実現に至った箇所が多々あります。

 

  2004年に竣工した「柏の葉庭球場クラブハウス」は千葉県発注の案件でした。担当課としては県立公園内の一般的な小屋程度のイメージのようでした。担当者の「屋根を軽くせよ!」の指示をもとに、弊社は第2回の打合せに発注者のイメージを超える模型を持参し、デザインを ご理解いただきました。しかしその後、この大胆なデザインは庁内では賛否両論で、(弊社としても説明資料等を作成しましたが)担当者が相当なエネルギーを費やし上司を説得して廻って下さったお陰で実現に至りました。また、この作品の建築賞受賞時には担当者が誰よりも喜んでくださいました。

 

  2001年に竣工した「柏市立富勢小学校トイレ改修」は担当課長が定年を迎える年に竣工しました。担当課長はそれ以前から、担当スタッフと共にトイレメーカーのセミナーなどにも参加なさっていたようです。小さな規模の設計でしたので随意契約でしたが、設計開始当初、担当課長から「学校のトイレのあるべき姿を具現化せよ!!」とのご指示に、私としても奮い立ちました。竣工後「鰻 大和田」のご主人から「古里さんの設計もスゴイけど、公立学校のトイレで古里さんにここまでやらせたお役人の方がスゴイね!」とコメントを頂きました。

  建築はクライアントと設計者そして施工者の共同作業の末に初めて成立します。当然のことながら、三者の信頼関係が前提となります。私は幸運にも私の設計をご理解頂いたクライアントや施工者に恵まれたことを本当に感謝しています。他方、昨今の入札制度の激しい変化や、民間建築が強く影響を受ける経済状況のなかで、三者の信頼構築の難しさも感じています。それでも諦めることなく、これからも私の建築に関する考えをしっかりと伝え続けてゆこうと思っています。



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