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私はそれを「ベンチャーズ現象」と呼ぶ
2012.01.06
text by T.Furusato

「東叡社オフィシャル写真集−美しきハンドメイド自転車たち」(グラフィック社) こんな美しい自転車の写真集は初めてです。1970年代にピークを迎え、細々と継承されていたツーリング車がここに来てまた脚光を浴びています。


 ここ数年、自転車ブームのようです。当初は団塊世代退職後の趣味のような扱いでしたが、その後、最先端のロードバイクがもてはやされ、ここに来て'70年代に一世を風靡したツーリング車が再び脚光を浴びています。

 上掲写真は日本のツーリング車の草分け 「東叡社」の写真集です。昨夏出版されましたが、これまでにないほど突き抜けて美しい自転車の写真集です。私は東叡社の自転車に高校時代から恋いこがれ、30歳のとき、やっとの思いで1台造って頂きました。東叡社の自転車の素晴らしさは単に性能だけでなく、とても美しく、自転車としての完成度の高さが特徴です。東叡社をはじめとする日本のツーリング車は当時の前衛的なフランスの工房作品を手本に造られました。しかしながら現在、フランスのツーリング車工房は時代の流れと共にほぼ淘汰されています。本家は淘汰されても日本で生き残っていて、何か不思議な気がしていました。

 もう10年程前になるでしょうか、隣まちの市民会館に行ったところ、大ホールでベンチャーズのコンサートが行われていました。中高年の観客が続々と入場して行くのに驚きました。調べてみたら、ベンチャーズは1966年の初来日以来ほぼ毎年、日本で全国コンサートを行っています。'99年以降は年2回も・・・。ベンチャーズは電気楽器を用いた音楽で初めての世界的ヒットを生みましたが、現在(と言うか、ここ数十年)、活動の中心は紛れもなく日本です。本国では第一線を退いても、日本では当時のペースでコンサートが催されています。もっと顕著な例は・・・平田暁夫氏はフランスで帽子創りを学び、その後帰国して活動を続けていらっしゃいますが、本国では完全に淘汰されているため、現在はフランスからも引き合いがあると言う。

 本国で淘汰されているのに日本で継承される事例(私はそれを勝手に「ベンチャーズ現象」と呼んでいますが・・・)が多いのは一体何故だろうと長い間疑問に感じていました。先日TVを観ていたところ、やっと答えが見つかりました。とある偉い先生が「例えば、千年以上昔の自国の古典文学を文庫本で読めるのは世界中で日本だけである。日本人は時代の流行とは別に、完成度の高いものを愛し続ける習性がある・・・」と仰ってました。日本人は外国文化を無節操に取り入れるとよく揶揄されますが、この「完成度の高いものを愛し続ける習性」がある限り、「きっとこれからも楽しいことがあるに違いない!!」と一人ほくそ笑む私です。



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